ドライバーとの会話

商品配送で当社によく来る路線便ドライバーとの会話

「若いよね。20代?」
はい。
「仕事何時から何時?」
朝6時半から夜9時まで、残業可能な80時間一杯までやってます。
「残業代ないと苦しいよね」
はい、本当はもっと働いて稼ぎたいです。
「結婚とかしたい?」
できればいいですけど、無理ですかね。

上場企業が多すぎる弊害

日本最大の危機は少子化であり、少子化の最大要因は若者の可処分所得が少ない事による結婚の減少です。

人口転換論によれば先進国の人口減少はある意味で当然と考えられ、出生率減少の理由としてはK.Davis, K.Masonらによる死亡率減少によるものやNotesteinらによる経済構造変化によるものがあり、現実にもその傾向は見られます。

だから何をしても無駄というのではあまりに無責任。今我々がすべきは少子高齢化をリアルに改善する方策を考案する事、でなければサステイナブルな未来はありません。

当方が考える方策は大きく成長策と分配策に分けられますが、後者の一つに、上場企業を通るマネーの流れの適正化があります。

この四半世紀というもの、日本経済(GDP)は成長していないにもかかわらず、上場企業の純利益と配当は右肩上がり、前者はざっと40兆円、後者は20兆円といったレベル、大きくならないパイの一部が株主により多く配分される潮流が出来上がりました。


ワリを食っているのは働く側、粗利が成長しないから当然ながら給料は上がらず、社会保険料率は上がり、手取りは下がる一方、更に戦争でインフレ発生し、若者の多くは前を向いた人生設計が不可能です。

40兆円の純利益の半分でも人への投資に毎年回す事ができれば、その直接効果は勿論、それによる消費増は中小零細にも多大な恩恵をもたらし、非上場企業の賃金押上も期待できます。

日本は上場企業数が多すぎます。賃金が伸びなかったこの四半世紀は英米型の株主資本主義の浸透、つまり株主重視が進んだのですが、対GDPの上場企業数でみれば株主資本主義の本家たる英米をも凌駕した日本、GDP1兆ドルあたりの上場企業数では世界一位独走。


経済格差が米英と比べ平等傾向が大陸西欧に近い日本、つまり比較対象としてより適したドイツやフランスとの対GDP上場企業数の差があまりに大きすぎる。日本の上場企業数は今の半分で十分です。

で、具体策は何?となりますが、例えば;

1.上場維持基準に最低平均給与を導入。プライムなら例えば1千万円ないし10万ドル、スタンダートは800万円等。期間内は解雇制限、期間内未達企業は上場廃止。

2.家計・民間金融資産から資本調達しMBOファンド組成、政府買取りの無利子永久債発行しレバレッジ、計100兆円単位の資金で多数の企業を非公開化(DDの結果破綻リスクあるもの除く)。会社はROE圧力を回避し長期戦略経営が可能になり、間接株主の一般市民たちは銀行預金以上のリターンで両者ウィンウィンに。

エビアン値上げと・・・

エビアンの値上げ

伊藤園さんからエビアン値上げの事前連絡がありました。

大幅な値上げとなる模様です。売上減少は避けられませんが、それでいいのです。

ちなみに今の日本のインフレは日銀の金融緩和の結果ではなく、プーチンがもたらしたものです。

真の課題は日本企業全体の粗利ですが、今年に入りようやくGDPデフレータがプラスに転じ、つまり増加した輸入原価を転嫁できている事になり、良いトレンドです。

他方、この状況にも関わらず、依然従業員給与を上げられない会社があるとすれば、その存在意義に疑問符がつきます。

少子化の主因は結婚が減った事、結婚が減った一番の理由は若者、特に若い男、の実質賃金が減った事、これらはデータで明らかになっている明白なファクト。

解決策?

異業種から典型的なデフレセクターの清涼飲料の世界に入り、気づけば20年どっぷり浸かった当職だから分かることがあります。

大手小売の囮廉売、リベート、3分の2ルールなどの悪しき当該セクター慣習。これらは政府が即刻対応し正常な形にする必要がある。

同時に、過剰なまでの制度融資と公的支援により本来なら廃業ないし売却されて当然の多数の無価値の会社が生きながらえている我々零細企業の実態も早晩変えないといけないでしょう。若者に高い給料払えない会社の存在意義は大きくありません。

そして、会社規模に関わらず、ズルしたものが得をするのが今の日本。そこに徳は無し。

一途の希望は若者達、ズルしてまで贅沢や見栄にこだわらない。それと同時に無くなったアニマルスピリットはさあどうするってことでしょうか。

早川氏が正しい

見ると頭が悪くなる日本のテレビですが、たまに有意義な番組がある事に気付きます。

NHK日曜討論。金融政策の議論。リフレ派代表の岩田氏と中立的な早川氏の最後の応酬に全てが集約されていた。前者が「金融緩和に尽きる」といえば「賃金が上がらないことが最重要問題」と後者が暗にリフレ政策を批判。

完全に早川氏が正しく、岩田氏が間違い。後者は日銀副総裁の就任時に「金融緩和で消費者物価2%上昇は2年でできる。できなければ辞任する」と豪語したらしいが、結果はご存じのとおりで、失敗にも関わらず副総裁の椅子を譲らなかった。自身を懐疑する謙虚さが保守の神髄であれば、岩田氏は出来の悪い進歩派といえるでしょう。

このように人間として軽蔑に値する男がなぜ今もテレビで傲慢でいられるのかといえば、エコノミストや官僚や政治家等の主要プレイヤーは失敗責任を負わなくて済むという極めて奇妙な制度設計のせい。僕らのような市井の零細事業者は失敗すなわち全財産と社会信用を失うことになるが、エコノミストはその主張した政策が失敗した結果、国民が貧乏になったり、少子化が加速したり、自殺者が増えても、何ら責任を問われない。日本における第一権力になり上がって久しいマスメディアは言わずもがな。

当方は世界で稀にみるデフレセクターである日本の清涼飲料市場に20年浸かっています。だから、日銀がする事は外貨含む資産価格に影響すれど実体経済にほとんど影響せず、まして商品サービス価格を上げることなどできない事は実体験で分かっています。そして、デフレの根底に社会保障不安があり、さらに流通構造が拍車をかけているとも指摘してきました。過当競争で粗利稼げず、特に若年層の賃金が上がらない状況では小売価格が上げられない。

賃金が重要だと指摘した早川氏はまさに当方と同じ考え。重要なのは中小零細企業のそれですが、東京商工リサーチのアンケートでは多くの中小が賃上げを予定しているとの事。他方で当方が見るかぎり、中小零細は価格転嫁が不十分なため、現実的には困難と予想します。経産省あたりが中期的に川上の合従連衡を促し、短期的にはまず囮廉売規制を強化する方がよほど物価適正化に有効だと思っています。そして本丸の社会保険、まずは会社は社会保険料を政府でなく従業員に払い、従業員が政府に収めるようにする事で、天引きによりほとんどの被雇用者が気づいていない現在の社会保険制度のいびつさがに気づいてもらうのが発起点かもしれません。そして保険料という名の「税」、社会保険料の料率(税率)を国民負託すら無い厚労官僚達が勝手に上げてきた事実を知ることです。このままでは若者達の明るい将来など望みようがありません。

デフレ経済が悪い訳、続き

昨日、水広場ヤフー店で買ったという初めての顧客?から変な電話がありました。

「おたくのエビアン、正規品と書いてあるけど違うから返金しろ。出るとこ出てもいいんだぜ」

当方困惑、いきなり脅され心穏やかで済みません。なにせ当方が販売しているのはダノン社と日本で唯一正規輸入契約を結んでいる伊藤園・伊藤忠ミネラルウォーターズ(株)が輸入販売している正真正銘の正規輸入品ですから。

日本は今インフレだという指摘はCPI指標では正しく、全体経済ではミスリーディング。当方がより重視するのは流通全体を把握するGDPデフレータ、日本経済は輸入原価の高騰分を製造流通過程で転嫁しきれておらず、つまり中小零細の多くは粗利が減っているわけです。その意味においてデフレ基調は変わっていません。

デフレは中小企業の賃金を抑え、売る側の労働意欲を削ぎ、それが長く続いたことで「カネ払う方が偉い」というマインドが固定化しました。

それに輪をかけたのが匿名で自分はリスクを負わずに好き勝手に店の信用を落とせる商品レビュー制度。店舗側がそれら不当レビューを防ぐ事はできない不公平な制度です。価格が自然と下がる圧力が常態化します。

健全な経済下であれば前段のような非常識な脅しは非難の対象ですが、デフレ下ではそうならないことが多い。

「カネを払うほうが偉い」マインドの構造化は人の質を下げる。私がデフレ経済が好ましくないという理由の大きな一つ。

自分の会社の売上を考えればこんな事を書くことはマイナスでしょう。しかし当方の視点はもっと大きな社会的な範疇に留めおかれています。従って、おそらく日本の数百万もの売り手達が思いつつ言えない事が上記代弁されただけの事。

ちなみに、冒頭のエキセントリックな初回客には「出るとこ出る?どうぞどうぞ」と電話を切りました。レビューを恐れたら真っ当な人間をやっていられません。

日本が韓国と和解できない理由?

コルビー大学(Colby College)のウォルター・ハッチ教授の新書。

同じ敗戦国である日本とドイツ。ドイツは侵略した欧州各国と和解できたのに日本が今だにできていない理由として、日本の謝罪が足りないからだという従前の潮流を否定し、構造的観点からアメリカに責任の一端があると鋭く指摘している。

戦後の安全保障体制においてNATOによる水平的かつマルチな共同防衛体制に組み込まれたのがドイツ、一方の東アジアのアメリカ同盟国はそれぞれがアメリカとバイで構成された為、日本と韓国は目的共有ができなかった。

生意気に水広場的書評を言わせてもらえば2点ほど。

1.「ドイツは侵略した国々と和解し日本は違う」という前提は雑かもしれない。ドイツはナチスに責任を被せる事で国・国民の責任を逃れた真実は周知、その証拠にポーランドなどは現在も巨額な賠償金を求めている。一方、日本が侵略したとされる複数の国地域が親日。

2.アメリカとのバイラテラル関係が並走する構造が影響した点に同意、加えるならば、先の大戦の遥か前から東アジアは隣国を横に見ず常に縦に捉える伝統(?)がある事。隣国をカズン(従妹)として横に見る西欧と違い、自分より上か下に見る傾向;中国は他の全ての国を下に見るし、韓国も歴史的に自分達が日本より上だったはずなのにという悔しさからか慰安婦の言いがかりを恥じず、また近代日本は中国と韓国を経済的豊かさで見下してきた。

いずれにしろアメリカのアジアでの立ち位置が変わらない限り本件の和解という目的の達成は困難であろうと思う次第です。

政治的立場は横に置きこの書評で言いたいのは、視点を俯瞰的にする意義、です。

ついでにテーマ逸脱しますが、GHQが去って80年も90年もアメリカ保護領体制が続くようであれば、客観的に見れば極めて現実的なシナリオたる彼らの東アジア撤退に伴い、日本は中国共産党から核の威嚇を受け一気に彼らの支配下に入らざるを得なくなると予想します。その流れは当方尊敬するハンティントンの指摘でもあります。

そうなったら、吉田茂という人はかつてあった日本という国を滅ぼした他者依存体制を作った人物として後世に刻まれるものと思われます。

そのような事態を現在の世界において現実的に防ぐには自主防衛しかなく、また、主権(sovereignty)という言葉が歪められて植え付けられ、そもそもその成立に正統性が欠如した現「占領憲法」の廃絶が当然と考えるのが真っ当な倫理規範だと思っています。考えれば考える程、私的には不文憲法が最適という結論になります。

https://www.press.umich.edu//11683923



最近の会話から

大手飲料メーカー担当者:
秋の値上げ後、大手量販店ではまだ値下げになっていません。
「それは良かった。ボーナスも良かったって?」
はい、良かったです。
「良かったですね。大手メーカー全部値下げしていないのですか?」
キリンさんが生茶の値段下げました。下げて数量も下がったらしく・・

極悪人を持ちあげるエリート達

今朝Foreign Affairsの記事を見て仰天。この人物の極悪ぶりをどの位の日本人が知っているのでしょう。

クリントン政権などで日本を担当したジョセフ・ナイ。

先日の日本でのシンポジウムで、中国が台湾に侵攻したら日本は絶対に守るという意思表明を今からしておく事が重要、それが抑止力になるから、と発言。

その彼が、Foreign Affairsの「中国が台湾を侵攻したらアメリカは守るという姿勢を示すべきか?」との質問に対し、「絶対にそうすべきではない」と回答! 唖然としました。人間の最低限の倫理規範すら持っていないようです。

中国を弱らせるのに日本を使い、自分は強大中国とは絶対に事を構えないというワシントンの本音はこの例からも読めます。クリントンの頃から急速に凋落した日本、この人物がいかに日本にマイナスであったか検証もせず希代の外交官などと持ち上げる日本のメディアにもつける薬はありません。

ナイ氏は人間として不道徳なだけでなく知能も低く、ソフトパワーなどという空論を流し、本当は無能なエリート層、特に日本人に受けたものの、結局世界はナイとは対峙するハンティントンの描いた方向に向かっています。

最近の会話から

大手飲料メーカー営業担当者と

「カインズホームとか大手小売店への値上げ後に販売量が落ち、それで冬のボーナスが増えそうです」

なるほど。(設定販売数量に達して支払う)小売店へのリベート払わずに済むから?

「そうです。今年の販売計画は未達でほぼ確定、リベート不払分を加味すればトータルでプラスですから」

リベートという悪習は飲料セクターのデフレ因子ですね。

「そうだと思います。本当は商品価格だけで勝負すべきだと思います」

全ては粗利なんだよ、stupid。

低賃金が日本経済の最大課題の一つであり、政策担当者達がやっと腰を上げたのは嬉しいのですが、出てきた解決策がリスキリングやら人材流動化やら、大して効果の無い施策に走っており唖然としました。

経営者が売上総利益(粗利)を重視すれば多くの重要課題が解決するという大原則が軽視されています。日本の企業の多くが過少粗利に甘んじているから真っ当な人件費が捻出できないのですから。

過少粗利の主因は安価販売。川上から川下まで適正粗利を確保すれば賃金原資は得られます。(その後の株主等ステークホルダーとの分配論は二次的につき別の機会に)

粗利を増やすには売価を上げればよい、それが何故できない?

政策担当者が指摘していない点として、実は売る側自体が粗利を重視していない事が挙げられます。巷で言われる川上の中小零細企業は弱い立場で値上げできないという側面、それは裏を返せばそれでも存続できるのは賃金の犠牲と潤沢なセーフティネットワークメニューが揃っている事でもあるわけです。

皆、順番を誤っています。まずは適正価格で売る事、それができないのならできる製品サービスをつくる、交渉力を得るために同業と協働ないし一緒になる、それら全部無理なら潔く会社をたたむ。

過当競争であろうが何であろうが、売れるために従業員の給料をケチるという事では本末転倒、経営者失格という事になります。

川上から川下まで粗利を重視すれば必然的に売価を上げざるを得ません。原価を叩いて粗利を確保する事ができませんから。

粗利経営が優れているもう一つの理由は経常利益から純利益までの部分を良い意味で軽視できる事。

経営を苦しくさせる日銀の利上げは絶対反対という専門家?の方達がいますが、中小零細企業には過剰ともいえる制度融資が揃っているし、利上げシナリオを想定していない大企業があれば経営者失格でしょう。そもそも個別融資の金利変更の判断は市中銀行が担います。経営の本質は戦略構築、つまり粗利適正化であり、財務はその次の次ぐらいで丁度良いでしょう。

私は自分の会社も自身も運転資金融資と住宅ローンの債務者という立場ですので金利が上がると勿論負担は増しますが、日本の異常な人為的低金利は自然に反する状態、よって金利が上がることに賛成です。そして弊社は立派な?零細企業です。

パパブッシュがクリントンに負けた時の有名な言葉、「経済なんだよ、stupid」ではありませんが、政策担当者には今の日本では全ての施策につき、それが川上から川下までの「粗利」を適正にするためにプラスになるか否かを第一基準とする事を希望します。