サントリー値上げ、その2

当方の仕入先でもある某大手飲料メーカー担当者とのある日の会話。

サントリーさん値上げだってね。果たして小売実勢価格は上がるのかな?

弊社は大手小売店に直接納入してますが、当方が値上げをしても卸先のどこかの小売店が必ず一方的に値段を下げ、それを見た競合小売店の多くが一斉に「おかしいだろう、うちへの納価を下げよ」となって結局すぐに小売価格は元に下がる、これまで何度もこの繰り返しでした。

サントリー値上げ宣言!

サントリーが値上げを発表した。

繰り返し恐縮だが全体縮小均衡に陥った日本経済の最大問題は賃金が低いことであり、賃金を上げるには何はともあれ粗利を増やすこと、粗利を増やす真っ当かつ簡単な方法は最終消費者価格を適正水準に引き上げるに尽きる。

同じ品質のものを買うに日本ほど安い国はない。諸外国なら150円相当が当たり前のものが日本では100円で良品として買える。デフレ日本の消費者は強者、売り手は弱者、その仕入先は更に弱い立場にある。過当競争で極大化したこの消費者余剰のツケは労働者としての自分が払う羽目になっている事にやっと多くの人が気づき始めた。そう、日本経済復活の第一条件、消費者保護の最大化から労働者の稼ぎの最大化にシフトする事だ。

そうなってやっと若者にとって結婚という言葉が現実味を増す。結婚したいけど金ないからできない。結婚した世帯は子供もそれなりに産まれていて、つまり若者の低賃金は少子化の原因でもある。

今回のサントリーの値上げ発表が試金石になりえるか?2019年のコカコーラの値上げの際はほぼ全く飲料価格を上昇させなかった(囮廉売がひどかったミネラルウォーターの短期間だけの値上げを除くと飲料価格は上がらなかった、添付チャートCPI抜粋参照)。

政府要人に長期間アドバイスしてきた人間がトップに立つサントリー。当初は値上げに付き合う大手スーパー達も半年待たずに値をまた下げるようでは当該セクターの賃金が上がることも絶望的だ。政府に上から助言する前に、サントリーの社長には産業経営者として自らの業界で少しはまともな仕事をしてほしいと考えるのは国民感情として当然だろう。大いに期待しています。

CPIから何が見えてくるか

中央銀行による空前のマネー供給でも頑として上がらなかった日本の物価、ここに来て輸入原価高騰の一部が小売価格にも反映されているが部分転嫁に留まり、つまり付加価値は増えていないため賃金が上がるシナリオが見えてこない。

ここ数年の水広場は日本の賃金が上がる政策とは?を自問しているが、その中で、これまで半世紀の消費者物価の変化をいろんな角度から見ている。

物価を構成する財サービス品目グループの中から本件で重要と思われる25分類に関する2020年までの50年間の毎年の対前年変化を抽出、各グループの他グループとの関連性を分析した結果、他との関連が一番低い品目グループは「(公共)医療福祉サービス」、2番目に低いのは「石油製品」だった。後者は意外だが興味深い。

流通構造と値段についてどこまで迫れるか、物価と賃金についてどこまで説得力持てるか、株主資本主義との関連にも迫れるか、まだまだ序の口。

毘沙門水


地元の皆さんと一緒に秩父の奥座敷で湧く「毘沙門水」に足を運ぶ。

秩父は言わずと知れた石灰岩の名所、毘沙門水の位置する山の名も白石山(別名:毘沙門山)という。

カルシウム豊富でマグネシウムは控えめ。ph7.8、毎日でも飲みたい美味しくて健康的な天然水。

水源管理はそれなりに大変らしい。そのおかけでしっかりと水が守られている。

震災から11年

今日で東日本大震災から11年前。改めて御悔みを申し上げると共に、今も避難生活をされている数万名の皆様に御見舞いを申し上げます。

11年前、弊社としても飲料水を現地に届けましたが、その際の反省が一つあります。細部に渡る想像力が欠けていた事です。

ドイツのエンジンガー社と協力して被災地にミネラル豊富な天然水17トンを届ける為、コンテナのトレーラーを現地にピンポイントで手配、到着したのは良いのですが、コンテナ扉の鍵に使われる鉄のコンテナシールをカットするボルトクリッパーがその場で用意されておらず、コンテナを開けるまでに手間がかかりました。無償提供だから仕方ないとは考えておらず、改めて申し訳なかったと思います。

平時なら無用な気付きが有事には非常に有用であることをその際には気づきませんでした。改めて思い返すと共に今後に生かします。

オーケー・花王からも透けるデフレの本質

物価を上げるには相対的にマネーを増やせばいい、つまりMV=PQのMを増やせばPも上がるというモデルは通用しなかった。

CPI構成品目数の26%を占める最大セグメント、食料。

そのいびつな流通構造、慣行、そこに加わった株主資本主義で、当該業界、少なくとも加工食品セクターにおける小売価格停滞のおおよその説明がつくと私は仮定しており、時間さえあれば検証に挑みたいと思っている。

加工食品セクターの中でもデフレが目出つのが飲料であり、そのひどい飲料セクターでも特にデフレエンジンとなった品目がミネラルウォーターであることが当方調査で判明。(下図参照、青がミネラルウォーター、黒が飲料、2020年を100として指数化した)

ちなみに別図のとおりデフレ経済の中でも安定的に価格上昇を続けているのが授業料(青:ミネラルウォーター、茶:大学授業料、2020年を100として指数化)。
ミネラルウォーターを生業とし子供も持つ当方家計状況の説明には丁度よい。

もうじき還暦が見える当方の生活などどうでも良いが、デフレで静かに潰れていく日本のこれからが心配でならない

消費者物価(除く生鮮品とエネルギー)が上がらなければ賃金も上がらず、カネがないため若者は結婚できず、結果少子化に歯止めかからず、低賃金固定化で横の格差が進行、そして社会保険構造による世代間不公平(縦の格差)も発生した。全体賃金停滞はGDP停滞であり、多数の貧は多数を不幸にする。

最も多数を不幸にする経済状態がデフレ。

オーケーストアVS花王の例もデフレを生んできた流通構造、慣行、株主主義が構成する氷山の一角にすぎない。オーケーはその多くの競合小売と同様、安くすることでしかモノを売れない、故にまともな水準の給与も払っていない会社。食品流通におけるセクター賃金を上げるには、小売リベート制度の廃止、不当廉売の範囲の見直しといった部分は行政の責任で何とかできるはず。そして川下に比べ統合が進まず弱小規模が多すぎる川上の食品製造セクターの横の連合を進め付加価値の分配バランスを少しでも改善すること。ついでに言うと食品流通における縦の力関係のアンバランスは売る側の人たちの尊厳も奪っている。


フローとストック

政治の世界で経済成長と分配の議論がかまびすしい。それを考える水広場的な出発点はフローとストック両方の指標を見ること。

内閣府、日銀、総務省、厚労省から摂ったデータから参考までにグラフを作った。

賃金、消費者物価、家計純資産(金融及びトータル)の推移を2020年を100として指数化したもの(賃金は2015年を100)。

フロー面を見れば、賃金(緑線)は1998年から下降を辿り、物価(青)もそれに続いて上がらなくなった事がわかる。平均所得は発展途上国水準に落ち、日本人は貧乏になった。

他方ストック面、家計の金融純資産(赤)は高成長、不動産加えた純資産(茶)は2,700兆円を超えた。金融資産は景気後退が始まっていた2000年から見ても約2倍に増え、日本人は更に金持ちになっている。

この両方が現実。

そこで、どう考えるべきか?

フローは成長論の前提として主に保守政治家の主張のベースとなり、ストックの事実は分配論の根拠としてもリベラル派や資本主義終焉論者のベースになりうる。

成長と分配、今の日本でより深刻なのはどっちか?

水広場的な結論は出ていますので、別の機会に紹介します。

モノ・サービスの価格の件

先日、最新(2020年基準)の消費者物価指数が発表され、当方もデータを入手した。

2020年時点の調査対象品目は1970年の倍近くに増え、全てのモノ・サービスは勿論カバーしていないけれど、物価指数としては政府のデータを頼るしかない。2020年には身近なところで「宅配水」も入った。

1970年からの50年間のCPI推移を改めて俯瞰する。総合指数が1997年付近からずっと横這いであることを改めて確認。

その原因は自分なりに分かってきた。

ちなみにミネラルウォーターは2000年にCPIの品目に加わった。2020年を100とした最新データでは2000年当時のミネラルウォーターは176、その後2013年まで毎年安定的?!に価格は下がり続けた事がわかる。

消費者にとって良い事です。水を通じて健康生活を普及するという弊社ミッションとも矛盾しません。

他方、この値下がりの原因はイノベーションによる原価低減でなく、大衆市場における無利益販売です。その結果として食品飲料製造業界の平均給与がずっと低いという経済的不健康が存在します。流行りの言い方でいえばサステイナブルではないという事になります。

ちなみに同じく2000年にCPI入りしたのが牛丼ですが、変動あったものの20年間で1割の値上がり、経済的に健康的です。

水と同じく値下がり傾向の例として携帯電話もグラフに入れてみました。

輸入品欠品のお詫びならびにご説明

新型コロナウィルス等に起因する供給制約により日本向け輸入ミネラルウォーターが欠品する現象が昨年から続出し、水広場でも一部のお客様にご不便をおかけしており、改めてお詫び申し上げます。

昨年は大手ブランドのコントレックスやゲロルシュタイナーが水の需要期である夏に長期欠品し、水広場人気商品のであるブルースプリングも一時欠品となり、そしてイングランドのヒルドン、イタリアのアクアパンナといったスペシャリティウォーターが続き、ここにきてスコットランドのハイランドスプリング、イタリアのサンタンナ1.5Lといった銘柄も欠品の状態となりました。

主な原因は新型コロナウィルスによるメーカー側の製造制約やコンテナ不足及び海運遅滞です。

その影に隠れているのが世界の買い手の経済力学の変化であり、その帰結は日本における終売の連続となります。キリンがボルヴィック事業を終えたことが象徴的でしたが、今春はサッポロが長くコミットしてきたゲロルシュタイナーの輸入販売を終了することになります。

ここ10年来、買い手として中国の位置が一気に高まり、海外メーカー側も数量の割に要求厳しく将来性も見えない日本の優先度は劣後し、物流面では海運貨物は中国沿岸港が目的地となり、東京港などは中国に向かうついでに立ち寄る位置づけになりました。

水の輸入各社は弊社含み小規模事業者が多く、可能な限り力を尽くしていますが、日本全体の地盤が下がっていることは事実です。

弊社としては今後も海外メーカー経営陣との信頼関係を大事にすることだと思っています。

デルタやオミクロンより怖い株

オチの切れがイマイチなタイトルで恐縮ですが、今回は席巻中のウィルス株より怖い株として日本企業の上場株があるという事を指摘したいと思います。

証券会社の知人達には申し訳ないが、今の上場企業数(3,800社ほど)は最大でもその半分で十分、ほとんどが非公開企業になるべきと考える。

なぜか? 日本の課題として労働者低賃金は最も深刻な部類であり、その解決には多数の上場会社が非公開になる事が結局は最も有効だと思うから。

日本という成熟市場で、株式上場したまま(つまりROE最大化を図る)での人件費上昇は構造的に不可能。

上場企業の利益は順調に増え配当も年間10兆円単位となった。それがそっくり労働所得となっていたほうが全体として良かったと思われる。

全体所得が上がれば政府の社会保険料収入も増える。年金受給者に年金はしっかりとたくさんと貰って今使ってほしい。

給与額の18%超の年金保険料や11%超の健康保険料率が下げられないものならば(僕らが働き出した頃の約2倍という現水準が人口動態上仕方ないとして)、払う現役の我々からすれば給料増やすのが大前提。

その一方で、労働派遣法あたりから人間はコストとなり、企業は企業経営では合理的な判断であるコスト削減をし、給料を増やさないのが大前提となった。

大量非公開化は「労働者も株式投資できる」という事実と矛盾しない。

ピケティが示したr=5%(ネット4%)、g=1.5%の均衡水準を例にすれば、投資額1億円あれば平均年間収入400万円、年間労働所得は増えても年平均1.5%。

結局僕ら圧倒的多数は資産ゼロの状態から働き始めるため、株式リターンで暮らせる日々を経験せず人生を終えることもわかる。

でも投資は勿論結構。言いたいのは、投資にあたり上場日本企業3800社が半分になったところで十分に魅力的なポートフォリオは作れるということ。

もっと言えば、真のアイデアと自信がある方々には、他人の経営ではなく自分に投資する事、すなわち起業をお勧めする。

いずれにしても社会全体でみた場合、上場企業がこぞって株式コストを最大限削った原資で賃上げを行えば全体が変わる力となり、若者は前を向き、日本社会に未来が見えてくると思う。