上場企業が多すぎる弊害

日本最大の危機は少子化であり、少子化の最大要因は若者の可処分所得が少ない事による結婚の減少です。

人口転換論によれば先進国の人口減少はある意味で当然と考えられ、出生率減少の理由としてはK.Davis, K.Masonらによる死亡率減少によるものやNotesteinらによる経済構造変化によるものがあり、現実にもその傾向は見られます。

だから何をしても無駄というのではあまりに無責任。今我々がすべきは少子高齢化をリアルに改善する方策を考案する事、でなければサステイナブルな未来はありません。

当方が考える方策は大きく成長策と分配策に分けられますが、後者の一つに、上場企業を通るマネーの流れの適正化があります。

この四半世紀というもの、日本経済(GDP)は成長していないにもかかわらず、上場企業の純利益と配当は右肩上がり、前者はざっと40兆円、後者は20兆円といったレベル、大きくならないパイの一部が株主により多く配分される潮流が出来上がりました。


ワリを食っているのは働く側、粗利が成長しないから当然ながら給料は上がらず、社会保険料率は上がり、手取りは下がる一方、更に戦争でインフレ発生し、若者の多くは前を向いた人生設計が不可能です。

40兆円の純利益の半分でも人への投資に毎年回す事ができれば、その直接効果は勿論、それによる消費増は中小零細にも多大な恩恵をもたらし、非上場企業の賃金押上も期待できます。

日本は上場企業数が多すぎます。賃金が伸びなかったこの四半世紀は英米型の株主資本主義の浸透、つまり株主重視が進んだのですが、対GDPの上場企業数でみれば株主資本主義の本家たる英米をも凌駕した日本、GDP1兆ドルあたりの上場企業数では世界一位独走。


経済格差が米英と比べ平等傾向が大陸西欧に近い日本、つまり比較対象としてより適したドイツやフランスとの対GDP上場企業数の差があまりに大きすぎる。日本の上場企業数は今の半分で十分です。

で、具体策は何?となりますが、例えば;

1.上場維持基準に最低平均給与を導入。プライムなら例えば1千万円ないし10万ドル、スタンダートは800万円等。期間内は解雇制限、期間内未達企業は上場廃止。

2.家計・民間金融資産から資本調達しMBOファンド組成、政府買取りの無利子永久債発行しレバレッジ、計100兆円単位の資金で多数の企業を非公開化(DDの結果破綻リスクあるもの除く)。会社はROE圧力を回避し長期戦略経営が可能になり、間接株主の一般市民たちは銀行預金以上のリターンで両者ウィンウィンに。

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