早川氏が正しい

見ると頭が悪くなる日本のテレビですが、たまに有意義な番組がある事に気付きます。

NHK日曜討論。金融政策の議論。リフレ派代表の岩田氏と中立的な早川氏の最後の応酬に全てが集約されていた。前者が「金融緩和に尽きる」といえば「賃金が上がらないことが最重要問題」と後者が暗にリフレ政策を批判。

完全に早川氏が正しく、岩田氏が間違い。後者は日銀副総裁の就任時に「金融緩和で消費者物価2%上昇は2年でできる。できなければ辞任する」と豪語したらしいが、結果はご存じのとおりで、失敗にも関わらず副総裁の椅子を譲らなかった。自身を懐疑する謙虚さが保守の神髄であれば、岩田氏は出来の悪い進歩派といえるでしょう。

このように人間として軽蔑に値する男がなぜ今もテレビで傲慢でいられるのかといえば、エコノミストや官僚や政治家等の主要プレイヤーは失敗責任を負わなくて済むという極めて奇妙な制度設計のせい。僕らのような市井の零細事業者は失敗すなわち全財産と社会信用を失うことになるが、エコノミストはその主張した政策が失敗した結果、国民が貧乏になったり、少子化が加速したり、自殺者が増えても、何ら責任を問われない。日本における第一権力になり上がって久しいマスメディアは言わずもがな。

当方は世界で稀にみるデフレセクターである日本の清涼飲料市場に20年浸かっています。だから、日銀がする事は外貨含む資産価格に影響すれど実体経済にほとんど影響せず、まして商品サービス価格を上げることなどできない事は実体験で分かっています。そして、デフレの根底に社会保障不安があり、さらに流通構造が拍車をかけているとも指摘してきました。過当競争で粗利稼げず、特に若年層の賃金が上がらない状況では小売価格が上げられない。

賃金が重要だと指摘した早川氏はまさに当方と同じ考え。重要なのは中小零細企業のそれですが、東京商工リサーチのアンケートでは多くの中小が賃上げを予定しているとの事。他方で当方が見るかぎり、中小零細は価格転嫁が不十分なため、現実的には困難と予想します。経産省あたりが中期的に川上の合従連衡を促し、短期的にはまず囮廉売規制を強化する方がよほど物価適正化に有効だと思っています。そして本丸の社会保険、まずは会社は社会保険料を政府でなく従業員に払い、従業員が政府に収めるようにする事で、天引きによりほとんどの被雇用者が気づいていない現在の社会保険制度のいびつさがに気づいてもらうのが発起点かもしれません。そして保険料という名の「税」、社会保険料の料率(税率)を国民負託すら無い厚労官僚達が勝手に上げてきた事実を知ることです。このままでは若者達の明るい将来など望みようがありません。

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