トリチウム早わかり

原発からの処理水に含まれるということで話題のトリチウム。水の専門家の間では水年齢を調べる有効物質としてあまりに有名ですが、一般的にはあまり耳にしません。

まず私達はトリチウムの基礎知識を再確認すること、それにより今回の騒ぎでどのメディアがデマを流しているのかが分かるはずです。

わかりやすいWEBメディアを探していたら三菱総研サイトに簡潔に説明されているページがありました。以下当該ページからの抜粋です。

トリチウムは、日本語で「三重水素」と呼ばれる水素の仲間(同位体)です。水素と聞くと、原子核の陽子一つの周りを電子が回っている「軽水素」を想像される方が多いでしょう。水素の仲間には、原子核が陽子一つと中性子一つで構成される「重水素」、そして原子核が陽子一つと中性子二つで構成される「三重水素」の「トリチウム」があります。

トリチウムは、原子力発電所を運転することで発生しますが、自然界でも大気中の窒素や酸素と宇宙線が反応することで生成されています。水分子を構成する水素として存在するものが多いことから、トリチウムは大気中の水蒸気、雨水、海水だけでなく、水道水にも含まれています。

軽水素や重水素は安定な同位体で放射線は出しませんが、トリチウムは12.33年の半減期(元の原子核の数が半分になる時間)でβ線を出してヘリウム-3に変わる放射性同位体です。

トリチウムは、処理水中で水分子の一部となって存在しています。このため、水の中にイオンの形で溶けているセシウムやストロンチウムといった他の放射性物質とは異なり、トリチウムが含まれる水分子のみを化学的な方法により分離し、除去することは容易ではありません。

福島第一原子力発電所で発生した処理水に含まれるトリチウムを含む水分子(下図のHTOやT2O)の濃度は最大でも1Lあたり数百万Bq(※4)です。これは1Lの処理水に含まれるトリチウムがわずか100ng(n(ナノ)は10-9)(重量の割合にして100万分の一よりはるかに少ない)程度であることを示しています。トリチウムを含む水分子だけを処理水から分離して取り出す方法も開発されていますが、このようなわずかな量のトリチウムを大量の処理水から取り出すには、膨大なエネルギーとコストが必要になり、現実的に利用可能な効率的な分離を行うには、さらなる技術開発が必要となります。


とりあえず今回はここまで。

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