オーパ!

開高健の大ファンです。男として憧れている。(最初「タケシ」と知らず「カイコウ・ケン」と呼んでいた僕です)

オーパは僕らにとっては垂涎モノのアマゾン釣行記。写真満載につき冒険家開高健の実体験の目撃者になれるのです。(会社のそばにある千駄木の往来堂書店さんで見つけました。小さな本屋さんですがいろいろなジャンルでこちらが読みたい本が不思議に丁度良いタイミングで置いてあるのです) 



僕は「流亡記」を読んでから開高健にハマりだし、そこでは侵略統治という人類史の普遍的で遥かな縦糸のようなものをボーッと想像し、「輝ける闇」では極限で赤裸々に晒された生存本能に驚き(自身が命を賭けた従軍体験のフィクションともいえるらしく迫力充分だった)、「裸の王様」では大人社会というか形式的なものへの警告らしきメッセージに強く共感したことを覚えている。

どの作品でも文体というのか彼のスタイルが良かった。そして僕が知らない(ないし忘れた)単語(特に形容詞)が必ず出てくるので勉強になる。例えばある話のマスは剽悍と形容され、その単語はビビッドに描かれた淡水魚の鮮明なイメージと共に記憶に刻まれるといった具合。大らかで、とてつもない自然人といった雰囲気に終始していて、雲古なんていう単語もたまに出てくるが、それが何か?と言わんばかり堂々と自然に露出し汚さを感じない(ミネラルウォーターを販売する者が何というお下品な。大変失礼しました)。   

そしてオーパ。今から30年ほど前のプレイボーイ誌企画による60日間に及ぶアマゾン川釣行を記録したもの。オーパとはブラジルの人達が驚いたり喜んだりする時に発することばという。ワニもたいらげるピラーニャ、3mを超える世界最大の淡水魚ピラルク、黄金に輝くドラドといった怪魚達との真剣勝負。

同行したカメラマンの接写多数により、セミプロ級という師のキャスティングの様子や釣果の生中継に見入っている感覚がする。文を読むと僕のような凡人かつ実体験不足の人間の理解をこえる深度というか。手漕ボートの上で起すルアーアクションは独特の深い洞察や思想にリンクしているように思え、300kmを超えるという川幅にたたえられる世界の淡水の3分の2という水量の茶褐色は巨匠をどうインスパイアしたのだろうと夢想する。そしてアマゾン川の主はどれだけ巨大でどれだけ獰猛なのだろう。30年後の今は何が変わり何が変わっていないのだろう。僕が知っているのはせいぜい奄美のGTまでで(それも知っているだけで掛かったのはシイラ止まりで結局釣れたのはカツオだけだったけれど。。)巨匠の実体験より究極的に低いのです。比較自体不適切と認識しつつも悔しい。

途中で150kgの子牛を丸焼きにしたり、1.5Mのミミズをつまんだり、巨匠は存分に遊んでいるようにみえる。夢のようだ。やってみたい。   

巨匠はブラジルのミネラルウォーターについても触れていて、ガス無しを好んで飲んでいたことが分かる。水広場でも引用したくなる水のくだりがあったので参考にしたい。

Leave a Reply