再掲:水広場がクリスタルガイザーの販売を止めた理由

クリスタルガイザーといえば日本でお馴染みのアメリカ産ミネラルウォーター。
大塚グループ傘下の米Crystal Geyser Water Companyが製造しています。

一時期、日本で最も売れた輸入水であるクリスタルガイザーですが、その最盛期ともいえる時に水広場では販売を止めました。

理由は2つありました。

1.倫理的理由:水源地のカルフォルニア州が水道水不足に瀕していた中、商業目的で大量に採水し、外国(日本)で販売するのは善でない。

2.経済的理由:クリスタルガイザーが売れてもGDP(付加価値)が増えず経済的に無意味。製造と輸送で出すCO2等の外部性を含めばクリスタルガイザーを日本で売れば売るだけマイナスの付加価値が生じるものと思われる。

このように不当廉売ならぬ「無価値廉売」「負価値廉売」の有名輸入水は他にもありますが、クリスタルガイザーに関するエピソードで今も記憶に新しいもの一つご紹介。

・2011年2月の日本、クリスタルガイザーはいくつかの通販サイトで1本税込送料込で26円程で売られていた。

・同年3月の震災で日本全体が飲料不足となり、某健康系通販サイトが急遽クリスタルガイザーの並行輸入を試みたものの、茨城県の大手キャップ工場等が予想以上に早くリカバーした事で国内飲料大手が早期に製造再開、結果として某健康サイトはたちまちガイザーの過剰在庫を抱え、震災前より安く叩き売りする珍事に。

真っ当に人件費を払いきちんと水源管理をしていれば、工場出しで日本円のイメージとしては1本最低でも30円はかかる。そこにアメリカ国内輸送、海上運賃、通関費用、検品、保管入出荷、日本国内輸送、販売者適正粗利、消費税のコストが必然として載る。これらはコストは悪いものではなくイノベーションと無縁の、あって当たり前のもの。

翻り、コロナや戦争の混乱でどの国の原価も上がった2022年、加えて海上運賃の高騰と急激な円安で輸入コストも激増した今、日本でクリスタルガイザーが例えば1本70円程度の値段で売られていたらソレは経済的に無価値なシロモノ。ネガティブ外部性を引けばマイナス付加価値、売れば売るだけ経済を破壊する。

従って、そのシロモノを求める消費者は無知・無教養な人、あるいは自分だけよければ良いという自己中心的な人ということにもなってしまう。18年の消費者ビジネス経験の皮膚感覚では今の日本人のゆうに半分以上がそう。金持ちも金持たぬ人もみな商品の先にある製造者や流通業者の生活、そして小売大手がいかに仕入先を叩いているかなど想像する余裕がないように見えて仕方ない。

上記は以前の投稿でも述べた事ですが、その後クリスタルガイザーウォーターカンパニーが新設した工場(画像参照)運営に反対する地元の環境団体と原住民のグループが提訴、結果勝訴、同社は当工場を売却せざるを得なくなりました。

このニュースを最初に知る必要があるのは私達日本人ではないでしょうか。

画像出所:OPB.org

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