水道の裁定取引

商業施設や病院や学校などの水道大口利用者が経費削減のために水道利用から自家地下水に切り替えているという記事がありました。
これは水道単価の累進性、つまり使えば使うほどリットルあたりの水道料金が高くなる料金設定による自然な流れです。
水を生業とする当方も一時この料金の仕組みを利用したビジネス、大口利用者の土地で井戸を掘って水道を供給する事業のFeasibilityを考察したことがあります。
水道料金の累進性により一部の大口利用者は自家地下水の方が安くなるためビジネスが成立しますが、それは硬直的な水道料金体系を利用した裁定取引であり、裏を返せば単価累進性が無くなれば成り立たない事業ということになります。
広義では震災後の日本の太陽光発電事業にも通じる裁定取引です。
で、今後どうなるのか?
累進性を終わらせれば大口顧客はいずれ水道に戻ってくるとして、短期的には水道事業者の収入が減りますので、小口利用者の料金を上げるか別の補填の議論となるのでしょう。

いずれにしても水道供給側に競争の視点が欠けているように思えてなりません。

自家地下水サービスを上回る価値の提供といったものは真剣に考えられているのでしょうか。
単価累進性という制度設計は今の時代に適合しないと考えますが、それを無くした場合の収入減と自家地下水サービスで失われた収入及び失われる可能性のある収入はある程度推測可能なはずですが、そういった分析は行われているのでしょうか?
揚水規制をかけるのは一番簡単かもしれませんが、水道使用者としては、まずは水道の広域連携を期に抜本的な制度設計をレビューして頂きたく思います。

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