水ブランド戦略

過日、山梨県の水戦略策定会議に出席しました。

ミネラルウォーター生産量は4割と断トツで日本一の山梨県。

その事実にも関わらず、水のブランドという点においてはもっと得られるはずのものがあるはず。

その乖離を埋める作業といっても良いかもしれません。微力ですが、アドバイザーの一人として責任を感じます。

首都圏の人たちが持つ「水」のイメージにおいて、山梨は長野の後塵を拝するデータが紹介されています。

それはどういうことか?

南アルプスの天然水やイロハスを長野の水と(勘違い)認識し、つまりミネラルウォーター銘柄から長野の水のイメージがよいと感じているわけではないように思います。

山脈、高原、そして安曇野、上高地、白馬、軽井沢などの自然を魅力につけたリゾートの存在。

それらが有機的に脳に作用してよい水のイメージを醸成している面があるのではないでしょうか。

いずれにせよ、これらは【イメージ】の世界であり、イメージを改善するには自然を守り、水循環を良好にし、自然リゾートの魅力を効果的に発信していくという帰結でよいのだと思います。水循環を守るという普遍的行為を真剣に実行していけば副産物ではありませんが、イメージも向上していきます。

他方、【ブランド】はイメージの先を行くものではないでしょうか。認知と価値を伴うもの。体験なり消費なりにそれなりの対価を支払えるもの。産業と雇用を生み出すないし支えるもの。それがブランドと考えます。私たちの宿題はまさにそのブランドをどうつくるかです。

単なる流行ではブランドは築けません。 誰もが認める、確固たる「価値」をつくる必要があります。

つまり、まずはその価値のありかを定めることだと考えます。

イメージ面からスタートするならば、他と一線を画す優れたイメージの所在とは? 例えば、自然景観というのも良いのですが、隣県との差別化、独自の価値が感覚的に伝わるところ(=ブランド)まで持っていけるでしょうか? ブランド戦略というテーマであれば難しいものと考えます。

ミネラルウォーターの生産量日本一。この事実は差別化要素。なぜメーカーは山梨の水を売るのか。ストーリー化し、それをずっと我慢強くPRすることでブランドの姿が見えてくるのでは。効率よくPRするなら、例えば世界の水メーカーを集めるイベントを毎年開くなど。テイスティングコンクールで世界一うまい水を決める。集客もさることながら、真剣に水の味くらべに徹することで老若男女の味覚を呼び覚まし、水のありがたさを再確認する。ど田舎のバークレイ・スプリングスに世界からメーカーや水道局が集まる例もあります。

世界を見渡せば、水ブランドをもつ地域っていろいろありますね。自然景観と療養泉がありますが、後者において欧州などでは浴すだけでなくて飲泉もセット。ベルギーのSPA、コントレックスビユなど、ミネラルウォーターブランドとテルメの名前は一体で地域ブランドになっています。隣各県と比較し山梨には温泉が少ないのですが、冷泉比率が高い。欧州のテルメも冷泉が多い。家族男女一緒につかる。欧州に負けない水資源の山梨。ウェルネスツーリズムに水を活用する可能性を探ることは無意味ではないはずです。それはある意味では明治時代に回帰することでもあります。

水循環、水質保護に関する独自の管理、認証制度をつくり、常にデータをオープンにし、優良な会社、自治体を表彰する。勿論PRは欠かさず。そんな取り組みを何年か続けることで山梨=良い水を守っている県、という認知となり、それは山梨の水の価値化につながります。

まだ端緒に就く段階、これから他のアドバイザーの皆様方と共に、こちらは大変微力ながら、少しでも力になれればと思います。

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