中国が日本の水を狙ってる? その前に。。

以前、某大学のベンチャーカンファレンスで講演した後に、出席者の方から日本の水源が中国にどんどん買われているようですが、本当ですか?と聞かれた。

日本の法律では土地所有者はその上も下も所有しており、中国に関連する個人または法人が日本のどこかの土地を買えばその下に存在する可能性のある水も所有できる。北海道の別荘地などが実際に売買された例などを挙げ、中国はいずれ水不足だから日本の水源が狙われている、と一部過剰反応が見られた頃のこと。

水源を外の脅威から守るのは当然で、もし相手が本当に日本の水を自国のために狙っているとしたら僕らも最大限日本の水を守るために尽くすが、その前に、知的たる日本人私達が事実を正確に理解することが必要。しかし脅威論の扇動者の方たちのほとんどにおいて、実際に何が起こっており、その次に何が起こりえて、最悪の場合はどうなるのか、という冷静な視点が欠落しているようだ。

仮に中国人でもどこの国の人でも日本の水源地を買ったとする。自国民にそこの水を使わせるには、A)水を自国に運ぶ、B)自国民を日本に移住させる、の二つがある。 

B)はひとまず非現実シナリオとする。

A)の場合、実務上はバルクで運んで消費地の自国で容器に詰める、日本で容器詰めして輸送する、パイプラインを敷いて運ぶ、の3通りが想定できる。パイプライン施設は日本政府なり各自治体が許さなければ不可能、バルクで運ぶ場合はコストと品質面にまだ課題がある(ニュージーランドから日本にバルクで天然水を運び国内でボトリングする実験を行った上での個人的実感)。

日本で容器詰めして運ぶのが今のところ最も現実的。その場合、経済的には国産ミネラルウォーターの輸出となる。

他方、自国民使用以外の目的として純投資がありうる。

そこで本質論になるが、そもそも水資源減少を抑えるには、自治体による揚水規制を徹底すれば外国人だろうと日本人だろうと必要以上に水を使えない。 

本分は日本の水資源(正確には水循環)を守り育てることであり、所有目的が純投資だろうが実業だろうが、揚水規制や自治体・NPOなどによるモニタリングでコントロールする範疇ということになる。地下水や表流水に県境はないから、全国的視野での管理が望まれるが。使用できる水量にキャップ(上限)があれば青天井のヴァリュエーションはそう見込めず、突拍子もない売買を遠ざけることにもつながる。

水不足の中国が日本の水を狙って水源地を買いあさっている、と煽る人がいたら、「だとしたら彼らは実際どうやって日本の水を使うのだろう?」という子供なら自然に感じる疑問を逆に投げ返してみよう。

 

One Response to “中国が日本の水を狙ってる? その前に。。”

  1. keeping your feet protected while making it feel like you ar - 5月 19th, 2013

    You have a few useful pointers on this page.

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