ドイツのリサイクル事情から見えるもの

昨日のDeutsche Welleに最近のドイツの使用済み容器廃棄量の増加とリサイクル新法に関する記事がありました。

近年の廃棄量の増大に対し新法では素材ごとにリユース率とリサイクル率の数値を設定し環境への悪影響を低下させる狙い。

ここまでは普通というか目新しさはないと思いますが、このような場合に日本ではゴミを廃棄する側への批判がメディアで起こることが自然で、特に供給側のメーカーや小売業への批判となるわけですが、ドイツはそういった政治的な思惑で本質から視点論点をずらすstraw man的な動きは比較的少ないように思えます。環境という包括的なテーマは社会全体で取り組む必要があり、目的達成に資することがない些末批判をしても仕方ないということが分っている、つまり当たり前のことが分っている人達の比率がドイツではそれなりに高いのでしょう。

ドイツが日本に勝っているというつもりは全くありませんが、この場合において、産業発展の不可逆性を理解していないのか、あるいは食と自然のつながりという人類的文化に疎いのか、日本の主流メディアなどではその際「ゴミを増やすミネラルウォーターは悪」といった情報発信が起こるように想像します。

僕が当地に駐在していた90年代前半には近所のスーパーには瓶入りのミネラルウォーターしかありませんでした。

ドイツで売られる水のガラス瓶の肩はひどく擦れた跡が残っているものが多く、日本では不良品とみなさてしまいますが、現地では立派にリサイクルされた証左として消費者は何ら白くこすれた跡を気にすることはありません。

本来は我々販売側が消費者の皆さんに正しい知識をお伝えし、本質的には不要な過剰包装や華麗包装が当然のように求められる市場は環境にはマイナスであることを分かっていただくことが肝要。他方、当方もそれなりに努力はしておりますが、これだけデフレが長引くと、どの小売業者も同様ですが、消費者側の要求は理不尽でも受け入れざるを得ない部分があります。

水広場では従前からデフレの危険性を訴えてきましたが、「モノやサービスよりカネの方が価値がある。(だからカネを払う方が上である)」というデフレセンチメントは人間の価値を毀損するだけでなく、環境面でもマイナスであることが本件からわかります。

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