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世界名水めぐりの旅:クロアチア編

 

世界の名水めぐりの旅、今回はクロアチアを訪れました。そもそもなぜクロアチアを目指したかといいますと、旧ユーゴスラビアに支配されていたこともありその自然、歴史、文化に関する情報がこれまで世界に発信されることがまれで、名水はもちろん自然と歴史の宝探しにはもってこいの場所のはずと(勝手に)考えたからです。実際に訪れたところ、はたして結果は期待を裏切らないものでした。

世界遺産「ドブロブニク旧市街」 ヴェレビット山脈近郊の入り江
世界遺産「ドブロブニク旧市街」 ヴェレビット山脈近郊の入り江
世界遺産「プリトヴィッチェ湖群国立公園」 世界遺産「プリトヴィッチェ湖群国立公園」
世界遺産「プリトヴィッチェ湖群国立公園」
世界遺産「プリトヴィッチェ湖群国立公園」  


君知るや世界遺産の麗国 九州の1.5倍の国土にユネスコ世界遺産が6つ!
  
ウィーンから空路1時間足らずでクロアチアの首都ザグレブに到着しました。成田発のオーストリア航空機内誌にたまたまクロアチアの自然風土を称える記事が載っており、待ち受けたクロアチアはまさにそのとおりの麗国でした。その記事を以下抜粋します:


「待ち受けるのは柔らかな陽光に波光きらめく青い海、石畳と坂道。そして落差78mの大滝の自然公園からローマ皇帝の遺跡までの世界遺産6景。「地中海の宝石」クロアチアは、ローマ皇帝からヨーロッパ貴族まで世界各地を歩き、リゾートの極意を知り尽くしたいわば旅の通たちが最後にゆきつく風光明媚を極めた麗しき国なのだ。魚はうまくワインも芳醇。なによりも人の笑顔が美しい。君知るやクロアチアの素顔を!」


ヨーロッパ富裕層の最終リゾート地:アドリア海沿岸

イタリアとクロアチアに挟まれる形のアドリア海。数百の島々が浮かび沿岸全体がリゾートともいえるクロアチア側の自然風土はその稀有な美しさにも関わらず決して驕ることない雰囲気で訪問者を迎えます。ダルマシア地方の人々がイタリア産よりはるかにうまいと自慢する魚介類から北部クルック島の白ワインまで、グルメにはたまらないであろう場所が多いのもアドリア海沿岸の特徴かもしれません。


どこかの旅行雑誌で読んだ記憶のとおり、アドリア海の輝きは特筆ものでした。おだやかで悠々とした群青の海に何百もの大小の島々が浮かぶその中をヨットがゆったりと走り、岸には赤茶色の屋根の民家やコテージが立ち並ぶ姿、などなど、日本人からするとかなり異国情緒あふれた風景が一杯にあふれていました。同行したクロアチア人のおじさん達はこの自然を口にする時、皆嬉しそうな顔になりつい話が長くなります。オーストリアやドイツをはじめとした欧州各国の富裕層がこの沿岸線の土地を求め殺到し、国内の観光地や首都ザグレブの土地価格は上昇しているようです。

アドリア海沿岸の街「Zadar(ザダル)」の風景  アドリア海沿岸の街「Zadar(ザダル)」の風景 
アドリア海沿岸の街「Zadar(ザダル)」の風景 アドリア海沿岸の街「Zadar(ザダル)」の風景
アドリア海沿岸の街「Zadar(ザダル)」の風景


聖ロックの名水とボトリング工場 

今回出張の最大の目的はクロアチアのミネラルウォーター・ブランドのひとつ「Sveti Rok」の水源と工場見学です。Sveti Rokは英語にするとSt.Rochらしく、日本語では「聖ロック」がふさわしいでしょうか。アドリア海沿岸に並行する雄大なヴェレビット山脈にある聖ロックの地で湧く自然水の優れた水質が近年知られることとなり、現在の会社の創業者であるヤコブさんが水源を買い取り2001年からボトリングを開始しています。名士としてヤコブさんは約10年前に終結した内戦では民兵として戦わなければならなかった経歴を持ち、現在は水に命をかけているとのことを後から本人に伺いました。首都ザグレブはじめ国内は内戦があったことなど想像ができないほど現在は平和な観光国となっています。


この水源を求め、ザグレブからにアドリア海に向け高速道路1号線にて約200km、途中その美しさと透明度で世界遺産にもなった「プリトヴィッチェ湖群国立公園」の脇を抜け、ヴェレビット山脈近くでは霧に視界を遮られながら2時間ほどで聖ロックの山岳地帯にある水源と工場に到着。風光明媚な山地で最新設備を備えたボトリング工場が稼動し、Sveti Rokブランドのミネラルウォーターの製造現場を見学することができました。夏は20度を越え冬は一面雪に覆われるヴェレビット山脈、そこに降り注ぐ雨と雪解け水が長い時間をかけ独特の地層により自然ろ過され良質ミネラルを吸収し、この工場で自然のままボトリングされています。


工場見学から一息つき、会社の皆さんと一緒にミネラルウォーターの試飲をしました。最初の1杯はみなうまいといいますが、ここの最初の1杯は非常に爽やかでした。話が進む中、試飲なのでボトルの水も進み、気がつくと1Lボトルを飲み干していました。当たり前のようにおいしく飲んでからその成分を見ると清冽なおいしさの理由がわかるような気がしました。ナトリウム、塩化物、カリウムといった成分は非常に少ない一方で、おいしさのようそとされるカルシウムはリットルあたり48mgと豊富に含まれ、対マグネシウムの比率が5:1。おそらくこの絶妙なミネラルバランスがこの味の秘密なのでしょう。

Sveti Rokの成分(1Lあたりmg)
カルシウム    48  
マグネシウム  10  
ナトリウム    1.2  
カリウム 0.3  
硬度 160  
     
     


 
上段:ヴェレビット山脈遠景、ボトリング工場脇の湧水のひとつ
下段:ボトリング工場内部
Sveti Rokがある山地は前出の港町「Zadar(ザダル)」からほど近い場所でもあります。
クロアチア地図

クロアチアのミネラルウォーター事情


現在のところ国内には約10社のメーカーがあり、国内需要向けの製造販売がほとんどです。最大手は大手流通グループのアグリコール傘下のヤムニカで、「Jana(ヤナ)」ブランドのミネラルウォーターを販売。2位のStudenaに続くシェア3位をもつのが独立系のSveti Rokです。上位2位は広告宣伝にかなりお金をかけているようで、国内のいたるところにこれらミネラルウォーターの宣伝看板を目にしました。
水の成分でみると、ミネラルウォーターの多くが硬度100~300程度の中硬水であるように見受けられます。


クロアチアの人々
一番印象に残ったこと、それはクロアチアの人たちの人懐こさ、親切さ、それと素朴さです。クロアチアの人たちは狡猾さがほとんど無いのでは?と思うほどの純朴さが特徴であると感じた次第です。


また必ず来たいと思い、現地通貨クーナは両替せずに帰りました。
ちなみにクロアチア語でクロアチアはRepublika Hrvatskaとなり、インターネットドメインは[.hr]です。

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