世界の名水紀行


ルーマニア・ボルセック

すっかりお馴染みになった(?)世界名水紀行ですが、今回水広場スタッフが訪れたのはルーマニア。バルカン地域としては昨年のクロアチアに続き2回目、旧社会主義諸国としては今年3月のチェコ名水紀行以来3度目の名水視察です。これまで訪れた世界の名水の郷は何故か全て豊かな森があり冬には雪が降る場所でしたが今回もそうでした。

ブカレストを出発し、デアルマレを経て目的地である名水の郷ボルセック村を見学し、その後ブラショフとドラキュラ城を巡る今回の旅を2回に分けてお伝えいたします。

1回目.ブカレストからデアルマレへ

さて今回のテーマはルーマニアの水です。バルカン半島最大の国土を持つこの国で採れるおいしい水といえば、そのほとんどが国の真ん中を逆L字形に縦横断するカルパチア山脈産といってもよいでしょう。2000m級の名峰が無数に連なる壮大な自然のパノラマであるカルパチア山脈は名水そしてワインの宝庫でした。視察の目的はルーマニアのトップブランド・ミネラルウォーター、Borsecが湧くカルパチア山脈北部のボルセック村の見学ですが、今回はまず出発地ブカレストと最初の立寄先のデアルマレを最初にご案内いたします。


ブカレスト
視察旅行は首都ブカレストからスタート。第2次世界大戦以前はその瀟洒な街並で東欧のパリと呼ばれたとされる都市。今日現在目に入ってくる光景はどちらかといえば無機質で単調、小さな喧騒と中ぐらいの喧騒の繰り返しで、夜の街がぼんやり薄暗いのはバルカンらしさ(?)の風情があります。長く鉄のカーテンの向こう側にいたこの都市の景観を今パリのそれと比べるのはナンセンスでしょうが、ホテルリドにあるような栄華を極めた100年程前の写真を見て当時を想像するのも楽しいものです。ちなみに100年前といえば第一次世界大戦のきっかけとなったフェルディナント皇太子暗殺事件が起きたころですが、当時ルーマニアは現在の形をなしておらず、現在の国土の約半分を占めるトランシルバニア地方はオーストリア・ハンガリー帝国(ハプスブルグ家)により統治され、その後1920年に当時のルーマニア(現在のワラキア地方とモルドバ地方)に統合され現在に至ります。

オペラハウス

都市美観計画もそこそこにチャウセスク大統領が石油危機のさなか建設を開始し今も未完成といわれる国民の館(現国会議事堂)。述床面積としてはペンタゴンにつぐ世界第2の規模といわれるだけあって巨大な白亜の建築物が丘の上にそびえ立つ姿にただ圧倒されるだけです。全ての部屋の照明を一度に照らす送電能力がない、数万人が駆り出されて建設した、などなど多くの逸話がついてまわります。

国民の館

地下鉄は思ったより小奇麗で少しプレザント・サプライズ。

ブカレスト市内地下鉄の改札

地下鉄駅の売店で売られているボルセック


デアルマレ
ブカレストからボルセックまでは日本でいうところの北海道から九州といったイメージの距離間隔。というわけで今回は寄道として有名なワイン地区「デアルマレ」にあるワイナリーを訪れました。 ブカレストをバスで出発、1時間ほど北上すると早くもカルパチア山脈が見えてきます。山脈の手前を東に折れ更に1時間ほどで左右見渡す限り広がるもろこし畑の大地を抜けてデアルマレ地区のワイナリーに到着。ゲストを迎える時のルーマニアの風習のとおり、民族衣装を着た女性が焼き立ての巨大丸パンを持って出迎えてくれます。このパンを少しずつちぎって塩をつけ食べるのですが、これが実に美味しいのです。
 パンで出迎え

ワイナリー見学の後は、馬車でぶどう畑を見学。標高がブルゴーニュを等しく、温暖なこの地の気候と独特な地質はピノ・ノワールだけでなく、メルロー、シャルドネ、リースリングにも適しているということで、実際にこちらの広大な畑ではそれら全てが見事に栽培されています。去年と違って今年はクオリティが良さそうとのことで、翌週から始まるハーベストが楽しみのようです。この畑で初めて知ったこととして、フェテアスカというぶどう種があり、これは白赤(現地では赤を黒といってましたが)両方あり、非常に美味しいらしいのです。いくつかフェテアスカのつぶを試しましたが確かに美味しく、新しい世界が開けたようで皆ご満悦の表情です。
 フェテアスカの房

あぜ道では近所の子供たちが無邪気に遊びます。近くにあった小さなジプシー村落の子供たちかもしれません。彼らの笑顔は忘れられません。この光景を見てバルビゾン派の絵画を思い出すのは私だけでしょうか?
 村の子供

ブレークタイム:少しだけルーマニアのおさらい

物価
食品:旧社会主義国のなごりか食料品は非常に安く、豆類や肉などはキロ単位で数百円といった感じで売られている。また、タバコも一箱200円程度。
不動産:1989年の革命以来10?15倍上昇したが単価は西ヨーロッパよりまだ安い。ちなみに89年までは全て国有財産であったものがその後社会主義以前の時代の所有者に一部を除き名義が返されている。
ガソリン:リットルあたり3.4LEI(1LEI=約40円)なのでかなり高い。
平均月収:富裕層もいるらしいが、平均としては依然250ユーロ程度。


革命後の外資参入
1989年以降、銀行セクターにおいては最大手のBCRがオーストリアのエルストバンク、第2位のBRDがフランスのSocGenの傘下となり、自動車最大手のダシアはルノーの傘下となった。小売では仏カールフールや独メトロなどが既に進出している。


第2回はこちら


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