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国内名水めぐり 沖縄 2016春

水広場の国内名水めぐり。北海道から沖縄まで500箇所を越える水源、名水スポットを訪問してきましたが、今回は久しぶりの沖縄レポートです。

沖縄と聞いて湧水のイメージまで浮かぶ方は水広場的にもとても通の方。豊富な銘柄を誇る「塩」や水といえば海洋深層水のイメージが強いでしょう。

そこで今回は周知の海洋深層水ではなく、沖縄の地下水や湧水に的を絞ってピックアップしてみました。

長寿の村の水とは?

沖縄県北部、長寿の村として知られる大宜味村では、村自体が「長寿日本一の村」を高らかに謳っており、ご高齢の方々が元気に暮らしている、まさに桃源郷といってもそう過言でもない場所といえます。

村によれば、大宜味の住民が長寿で元気なのは、食塩が少なく豚肉と野菜をよく摂取する食生活、活動量が多いこと、ゆったりしたストレスフリーの環境などが影響しているらしいですね。

食塩摂取量にしても、例えば東北地方の平均摂取量より明らかに少ないようです。それひとつとっても健康にはよさそうですが、水広場的にはやはり飲料水の影響が気になります。

そこで大宜味村の地層を調べると、沖縄独特の石灰岩質の台地。地質図で調べると、海岸から少し山間に入ったあたりから見事な石灰岩層が地下を形成していることがわかります。圧倒的に火山質優勢の本土と全く違う水質が期待できることになります。

で、実際の水はどうでしょうか?証拠探しとして、今回は大宜味で採水されているミネラルウォーターを探してみました。沖縄県内の道の駅や海の駅のいくつかを訪ねると、あるではないですか、320mlのかわいいエコボトルに入った「やんばるの泉」が!



「やんばる(山原)」とは沖縄県北部を指しますが、最近では自然豊かな大宜味村、東村、国頭村の北部3村を意味することもあるようです。

この「やんばるの泉」は大宜味村で採水されているミネラルウォーター。2年ほど前に生まれた新しいブランドです。一定量のミネラルが含まれた自噴力ある天然水です。

ミネラル成分は、カルシウムが突出した中硬水。石灰岩質で一定期間磨かれたことがうかがえるミネラル構成となっており、マグネシウムは控えめ、ナトリウムはしっかりとしています。

酸・塩基をみると、pH7.8ということで、弱アルカリ性となっています。石灰岩質で無炭酸でカルシウム以外の無機質が少ない水はアルカリ性になる傾向が高く、こちらも例外ではありませんでした。

以前水広場LABOでも特集しましたが、アルカリ性でカルシウム豊富な水は長寿の水として、健康寿命のためにお薦めしているものです。国内では他に龍泉洞の水や金城の華などが該当しますが、ミネラルウォーター「やんばるの泉」のカルシウムは断トツ!さすが琉球石灰岩!

同様にカルシウムを多く含みアルカリ性の水で世界で最も有名なのは、そう、おなじみのルルドの泉ですね。



「やんばるの泉」の中身の特徴は上記のとおりですが、このミネラルウォーターの容器とキャップの独創性も特筆モノ。女性の手にも嬉しいハンディな小型サイズ、そしてキャップがスクリュータイプでないところが秀逸です!

ほしい!という方も絶対にいるはずですね。沖縄からの配送料が大きな課題ですが、水広場では近く「やんばるの泉」の取り扱いを開始いたします。一人でも多くの方に、沖縄の健康水の魅力を知って頂きたいと思います。ご期待ください!


東村の天然水

同じやんばるで太平洋に面した東村(ひがしそん)。

大宜味村と比べると地層は違う年代のようで、地質図で見ると何種類かの岩質で形成されています。

そのせいか、石灰岩質の大宜味村の採水地の水より硬度は低くなる傾向があります。本州の私達から見ると、それほど水質成分面での違いはなさそうです。

そこで現物チェック、左の画像は東村で採水されている水の例です。

ナトリウムとカルシウムが比較的しっかりしていますが、硬度は61ですから、軟水です。やんばるの泉のように石灰岩層で長く磨かれてはいないようです。また、マグネシウムはとても控えめとなっています。

東村といえば慶佐次湾(げさしわん)のヒルギ林が国指定天然記念物に指定されていて、このミネラルウォーターを買うことでその収益の一部が東村を通じ、慶佐次湾のヒルギ林の環境保全活動に役立てられているようです。

また、東村はゴルフで有名な宮里兄弟の故郷でもあるんですね。


首里城の水の謎

沖縄といえば首里城を逃すわけにいきません。首里城は琉球石灰の石垣に加え、水エンジニアにとって魅力的な構造をしています。

要塞としての必要性からか、他の城郭と同じように首里城も高台に築かれています。昔は電気ポンプなどなく、下から水を運ぶのは大変です。ところが首里城では井戸がいくつも使われていたことから、苦労して水を運ぶ必要はそれほどなかったようですね。

でも高台に井戸というもの不思議。そのわけは首里城の土台の地層にあります。地下水を通さない不透水層(泥岩)の上に、水が流れる帯水層(石灰岩)が乗っかっている構造となっているので、地中に浸みた雨水が地下浅いところにある帯水層で流れながらも滞留し、その下にさっと浸みていかないという自然の仕組みがあるのです。

NHKのブラタモリでもこのことは紹介されていたようですので、ご存じの方も多いと思います。



今回の名水めぐりは断片的ではありましたが、沖縄の水の奥の深さを感じることができました。「やんばるの泉」のメーカーの中田社長とも知り合いになり、私たち自身がこの水の魅力にはまりつつあります。

北海道を含む全国の皆さんにも、珍しい特徴のある沖縄の天然水をお試しになって頂ければ嬉しい限りです。

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